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「いざ鎌倉」感動の物語

精一杯のおもてなし

鎌倉時代中期、諸国を巡っていたある僧が、上野国佐野(現在の群馬県高崎市)で猛吹雪に遭い、厳寒に耐えながらも進んでいたところ、一軒の小さな民家を見つけた。やせ細った馬が一頭繋がれているのを目にした僧は、とりあえず人が住んでいることを確信。扉を開けると、そこには貧しい夫婦が住んでいた。
主人は、快く僧を中に招き入れた。身も心も凍り付いていた僧は、手を合わせて礼を言った。湯気の立つ粟飯を差し出しながら、主人は言った。
「見てのとおり、私共はとても貧乏な暮らしをしております。こんなものしかお出しできませんが」
「何をおっしゃる。かたじけない」
すると、女房が主人に耳打ちした。「実は…」囲炉裏にくべる薪が底をついてしまったのだという。

出典:Wikipedia

心の豊かさ

主人は立ち上がり、手斧を持って土間に並べられた三鉢の盆栽の前に立った。 僧は驚いて、叫ぶように言った。
「いけません! 見たところ、その梅、桜、松の鉢の木はご主人が長年大切に手がけてこられたもの。それをお切りになるなど、正気の沙汰ではない」
「いえ。貧しいと言えど心だけは豊かでいようと、この鉢の木を育ててまいりました。しかし、困っている方に精一杯のおもてなしをするのもまた、心の豊かさの一つ。きっと、この梅も桜も松も、それは本望でありましょう」
主人はそう言うと、三つの鉢の木を切り囲炉裏にくべた。僧は心から感動し、主人に尋ねた。 「ご主人、実は名のある武士なのではございませんか」
「…お坊様に隠し事はできませんな。私は佐野常世と申す武士にございます。かつて鎌倉幕府より拝領した佐野を治めていましたが領地を横領され、この家に隠れ住むようになったのです」
背後の荷物にかけられていた布をめくると、そこには甲冑や刀など武具一式があった。

いざ鎌倉へ

「この身落ちぶれたるとも、私は武士にございます。鎌倉幕府より頂いた恩は忘れてはおりませぬ。甲冑も刀も常に磨き、外には馬も一頭繋いでおります。もし幕府より急ぎの召集があったとしても、いざ鎌倉へと馳せ参じ、命を懸ける所存にございます」
旅の僧は、佐野常世の深い忠誠心に心を打たれた。それから間もなくのこと。鎌倉幕府から全国の御家人が召集された。古びた鎧を身に付け、やせ細った馬を連れた一人の武士が、どの御家人よりも早くに到着。
集まった御家人の前に、北条時頼が現れた。
「この中に、佐野常世という者はおるか」
「はっ、私でございます」

曇りなき清廉の心

地に膝を付き頭を下げた佐野常世は、顔を上げた時、思わず声を出した。 「あなた様は…!」
「覚えておるか、佐野常世」
猛吹雪の日に佐野の家を訪れた旅の僧。それは北条時頼だったのです。時頼は温かく声をかけた。
「佐野、おぬしが語った忠誠心、嘘偽りでは無かったのう。見知らぬ者でも精一杯もてなす曇りなき清廉の心、どのような境遇にありても決して忘れぬ忠義の心、武士の鑑として実にあっぱれである。
その忠誠心を讃え、佐野の地は佐野常世に返そう。また、凍える我が身を温めるべくご馳走になった、
梅の鉢の木の返礼として、加賀国の梅田、桜の鉢の木の返礼として、越中国の桜井、松の鉢の木の返礼として、上野国の松井田の領地を与える。これからも鎌倉のため、尽くしてくれ」
平伏したままの佐野常世、背肩は感銘に震え、頬には感涙が伝っていた。
能の題材の一つ「鉢木」という有名なお話です。

それでは、今日はこの辺で。
田中

 

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